26th STEP ともだち

  左 運動会での決めポーズ! 右 大好きなピンクチューリーと  

 転校した次の日には友達の家に遊びにいく約束。…それは長男のたまものです。

 でも、人見知りをして慎重で怖がりな長女は、「友達になろう」、その一言が言えません。

 新しい保育園に通い始めた長女は、はじめのうちは興奮気味に喜んでいたものの、やがて「おうちにママといちゃだめ?」と聞くようになりました。

 すぐに予想できました。…友達ができないのです。
 「今日何してたの?」と聞くと、たいてい「本を見てた」。…そのうち保育園のことには触れようともしなくなりました。

 友達できるように祈ろうか、そう言っても返事をしない長女。しつこく(笑)祈ろうという私に、とうとう長女は投げやりに言いました。「ママが祈ってよ」

 「いいよ。神さま、聞いてくれるってママは信じてるんだもん。絶対聞かれちゃうよ」そう軽くいいながら必死で悔い改めなんぞして、神さま、どうか私の顔をたてて(笑!冗談です…)祈りを受け取ってください!と真剣、これが内心でしたが!!

 でも神さまは本当に優しい方です。

 1週間もしないうちに「友達ができた!」とうれしそうに長女が話すのです。相手はMちゃん。活発で少し気の強い頼りがいのある女の子。…でも彼女は長女と気が合わなかったらしく、そのうちまた長女は1人になってしまいました。

 そしてここから長女の長い戦いが始まるのです。

 1人ぼっちのまま迎えた春休み。
 おばあちゃんも来て楽しいはずのこの休暇の最中から、長女の「症状」は出始めました。
 おなかが痛い、吐き気もする、頭も痛い。食欲はなくなり楽しい外食でも食べることができません。一日に何度も下痢をし、お医者さんの薬を飲んでも完全によくはならない。
 …自家中毒(ストレス性の疾患)の症状でした。

 私の「家庭教師」の仕事が始まったことも重なりました。それから人見知りの激しい長女は、新しく園に来た新任のやさしい先生に慣れることがなかなかできません。…そして相変わらず、ずっとひとりぼっち。

 好き嫌いの多い長女は食事のたびに涙がこぼれました。食べることすら、彼女にとって苦しいほどのストレスとなっていました。何を食べる? と聞いて作ったものさえ、口に入らない。いつもは大好きなおやつさえたくさん食べられない…。

 私の気持ちは不思議に元気でした。
 子育ての中で、子どもたちの涙になれてきた、そういう意味の強さがついてきたこともあるでしょう。
 でも一番は「祈りの経験」だと思うのです。…何度も何度も大変なことがありました。そのたびに祈ったのです。そしてそのたびに答えがあったのです。

 友達ができた! と言ううれしそうな長男の笑顔。
 できなかったことができるようになって、自信たっぷりにかわっていく子どもたちの表情。
 …神さまの答えは時には人からの助けという形となって、時には不思議ないやしの力となって。また子どもたちが願っていたおもちゃとなって、私の心に深くしみる言葉となって…。

 …思いを含めたすべての生活そのものを、神さまによって支えられてきた。
 その経験が心に積もっているのです。

 長女は少し行ってまた休んで…。それを繰り返していました。
 長女が保育園のことを、心から神さまに祈れるときを待っていました。目をそむけずに、本当の気持ちを、神さまに祈れるときを。

 ママとうちにいたいから? …そうなの? 保育園でさびしいんでしょ? 友達がほしいんでしょ…? …長女は言います。「友達はもういるよ…」強がりでさびしがりの長女。

 神さまにはかくしちゃだめだよ。神さま、みんなあなたの気持ちを知っているよ…。

 神さまはなんだってできる。でもね、祈んなくちゃ。心から、「…がほしいです!…いうふうにしてください!」という祈り。
 それを待ってるんだよ…。Nちゃんがね、ほんとの気持ちを神さまに隠さないで言って、そして「神さま、たすけて!」っていうのを。

 ぽろぽろ、涙がこぼれます。

 …祈る…?
 もう暗くして、兄も妹も寝た部屋。その枕元にひざを抱えて、ひざを抱きこんだ両手を顔の前でぎゅっと握って、その手に顔をうずめて。

 「神さま、お友達をください…。保育園で、お友達をください…!」
 神さまの真実。本当に優しい方。本当にうれしい。あなたに仕えることができて。あなたと共にいられて…。神さま!

 …長女への、神さまからの答えは、2、3日もしないうちでした。

 今日、友達できたよ! Aちゃん! …長女から始めて聞く名前でした。…彼女とは気が合うらしく、毎朝、早く来たほうが必ず下駄箱のところで遅いほうをまっています。帰りは園庭を出るまでずっと「ばいばーい!」を繰り返して…。長女は毎日Aちゃんの話をしてくれます。

 長女は今日も、「大のなかよし(本人たち談)」とずっと一緒にあそんでいます。もう、長女から前の幼稚園の話はほとんど聞かなくなりました。 …もうママとおうちにいたい、とも、あの日から聞いていません。腹痛も下痢も吐き気もそれ以来すっかり影を潜めたのです。

 かわりに、長女の口から「神さま」という言葉と、「感謝」という言葉が驚くほどたくさん出るようになりました。ママ、神さま信じてなきゃ、神さま悲しむよ、私が病気でうなっているとき、そう説教されたほど!
 
 ハレルヤ! …本当に、本当に、神さま、ありがとう。