20th STEP 「もう警察に電話してっ!」
雪の日
もしもこの子たちに何かあったら…!?
そんな思いにかられることがありませんか? 私は時々ですが、そう思うのです。
事故にあったり死ぬような目にあってしまったらどうしよう、私はそのときどうなるだろう…。毎日の生活の中で、可能性が0ではない、だけど漠然とした不安。…ときどき、それが目の前にどーんとやってくることがあります。
もちろん、私たちの真の希望はこの世のことではなく、天国にあります。だから別に死を恐れているわけではありません。今私の手の届かないところに子供が行ってしまったらという思い(これが一番でしょうか…)、そしてもうひとつは子供たちの命の意味を神さまの前にまっとうしてほしい。ゆるされた命の期間、無事にちゃんと生きてほしい(心配させないでほしいってところでしょうか)…そういう思いなのです。
どよーんと暗くなってしまったときは、祈って神さまの守りを確認します。
落ち着けるまでとにかく祈る。なにせ、気にし始めると紛らせるということのできない猪突猛進タイプの私(笑)。今はまだだいじょうぶですよね、ね? …あーよかった、とならなければ夜も眠れません…。
長崎の西坂の丘で祈ったこともあります。そこは日本で始めてのキリストの名の故の殉教が起きたところ。2人の子供を両脇に抱えて、子供たちに何かが起きても、絶対神さまの助けがあるように、命の最後まで聞き従いきってから召されるように、それから主のときにはこの子達が痛みも苦しみも感じずに天に帰れるように…などなど。盛り上がりやすい私がぼろぼろ泣きながら祈っているのを見て、ちょっと異様なものを見るような2人。
「…もう行っていい…?」と、引き気味に去って行ったのが印象的でした…。
毎日の中に潜んでるかもしれない不安。
今回はそのことを書こうかな…と思っていた矢先、このテーマに沿った(?!)事件が起こったのです…。
もし何かが起きても、私は感謝できるのかな…? そんな風に思いながら台所仕事をしているとき。
…ふと時計を見ると、4時半を回っていました。長男が遊びから帰っていてもいい時間。…でも少し遅くなってるかな。
そのときは軽く考えていました。…迎えに行って、少し気をつけるように言わなくちゃ。学校で遊んでいるという長男を自転車で迎えに行きました。
ところがいないのです。
学校まで何度も往復しても、公園にも友達の家にも、通学路にも行きそうなところどこにもいない。30分、40分…、日が暮れてきました。先生たちにもお願いして友達や上級生のところに片っ端から電話してもらいましたが、誰も知らないのです。
ばいばい、って校門で別れた友達は、もう1時間半も前に帰っているというのに!
はじめは軽く構えていた私も、職員室で「…いませんか、そうですか…」という電話の応対を聞くたびにあせってきました。
外はもう暗くなってきていました。真冬の夕暮れ、今どこでいるのだろう。寒いだろうに、コート着ないででかけたままだったな…。
少し前から主人にも探してもらっているのに、どこにもいないのです。
もう私はパニックです。
電話をかけてくださっている先生は、頭を抱えて行き先を探しています。
…とうとう私は携帯を握り、主人に叫びました。
「警察に電話してーっ!!」
…恥ずかしい話です。
長男はその少し後、ふらりと帰ってきました。一緒にいた友達の誘いを断りきれず、遠くまで出かけてしまっていたとのこと。もうかみなりどころじゃない「超」お叱りと、そして涙ながらに抱きしめた後、もう何日分にも匹敵する濃い疲労が…。1年生にしてこれだけやってくれる息子も息子ながら、わたしの心弱さといったら…。
見つかったという電話を受けて、先生方によくよくお礼とお詫びを言って帰り道。深い反省…でした。
必死で切羽詰まっていらいらして。警察に…という私の言葉に難色を示す先生方に「もしなんかあったらどうするんですか!?」と詰め寄ったりして。全能の神の後ろ盾のあるクリスチャンとは思えない(笑)。
こんな弱いクリスチャンに、先生たちが神さまの話を聞きたいと思うだろうか? あせって警察…と叫ぶ私に、平安と助けのために祈ってほしいと思うだろうか…?
…ふとそんな考えになりました。
すべては福音のために。
そんな言葉が心に響きます。
長崎西坂の丘。あのときの祈りを思い出します。
神さまは「負いきれない重荷を負わせない方」。
神さまの実質は愛と憐れみ。信じ従う者に力と恵みを惜しまれない方。
…神を愛し従う者にとっては、です。
だからこそ、あの殉教者たちは強かったんだ。…そう思います。
次の朝、職員室に再びお礼とお詫びに伺いました。
頭を下げに下げて帰り道、思いました。今度は福音のために、強くなりたいなと。泣きたいようなことがあっても、笑って神さまの祝福を語りたい、語れるような強さがほしい、と。
ただ、こう祈ることも忘れませんでした…。
「でも、とにかくもうこんな胃の痛い事件が二度と(強調)おきませんように…!!」