15th STEP  僕はどうしてこんなに弱虫なんだろう… 【中編】

 左;目の下「くま」の長男 右;NICUにいた次女   

 私が帰宅した後、長男は未就学児ばかり6人くらいいる病室に移りました。

 まだ1人でトイレも車椅子にも乗れない長男を残して、看護士さんにすべて託しての帰宅途中、ずっと叫ぶように神さまに祈っていました。

 長男は甘えん坊で1人で寝れないたちです。
 病室でも眠くてもずっと眠れなかったようです。何度も看護士さんを呼んで助けてと言っているうちに、長男のナースコールは取り上げられてしまいました(トイレも1人でできないのですが…)。

 それから、毎日、面会のたびに長男の目の下の「くま」はひどくなっていました。
 私が面会に行くとほっとしたのか、すぐうとうとするのです。でも寝ているうちに私が帰ってしまわないかと、泣きながら飛び起きるのです。夕方の電話の時間にも、毎回「うわーん、ママー!」という泣き声(のみ)の電話がかかってきました。

 1ヶ月を過ぎると週末には外泊できました。
 (この外泊のお迎えがすごい力わざでした! なにしろ、主人は仕事で留守なので、首に横抱き用の抱っこ紐で退院したての次女をぶら下げ、片手で長女の手を引き、片手で車椅子を押すのです。この車椅子には1週間分の洗濯物と替えのギプスを入れたでっかいかばん2つぶら下げて! これで地下鉄を2度乗り換えて帰るのです。…これをやった今となっては、もうこわいものはありません…)

 外泊中の長男はいつも病人みたいでした。青白い顔で、ほとんど笑いませんでした。

 あるとき長男はこう言いました。
 「僕はどうしてこんなに弱虫なんだろう…」
 看護士さんに、「お前は弱虫だ」と言われたんだそうです。そう言われて涙が止まらなかったと、言いました。

 長男に言いました。
 「…弱虫ってわかったのは恵みなんだよ。だから神さまに頼ろう」
 弱虫じゃないよ、って、私は言えませんでした。
 私も弱虫だったから。私も、なんて力がないんだろうって、思っていたから。
 長男を抱きしめて、感謝しよう、口先だけでもいいから、感謝しますって言って。ママも言うから。…私だって口先だけだった。でも感謝は何度も何度も長男とささげたのです。

 …いつか、このことも益になって、心から「感謝だったなあ」と思うときが来る…。…来る?

 教会は守りですね。
 神さまが教会を通して語ってくれたその「感謝」。自分の確信に頼っていたら、きっと私はしなかっただろうその「感謝」が、確かに私たちを守ってくれました…。