12th STEP  本当に信じますか? 【後編】 

 ヘンな2人   


 「きょう、つらいことあった?」

 そう聞いても長男はうん、とは言いません。べつに、と言って、黙るのです。

 「ママね、見てたんだよ。足のこと、言われてたでしょ」

 …いっそ、泣いてつらい! と感情的に訴えてくれたらいいのに。そう思いました。昼間のあきらめの表情が思い浮かびます。私は聞きました。

 「神さま、ぼくの足は治せないって、思ってるんじゃないの?」
 長男は、小さくうなずきました。

 …でも、本当は私の心の答えでもあったのです。
 神さま、いつまで? いつになったら答えてくださるんですか? それとももうこのまま? 治る前に、心のほうがもたなさそうです…!

 来なさい、と言われて海の上を歩き出したのに、高い波をみて、沈みそう、そんな感じだったのかもしれません。
 それから2人で話しました。

 「…神さまにできない、って思うのは不信仰っていうんだよ。不信仰は神さまの祈りの答えを止める壁になるんだよ…」

 神さまできるよ。信じれなかったら、信じれるようにさせてくださいって祈ればいいだけだよ。祈ってもそれでも、治るって思えなかったら、もっと治してくださいって祈ればいい。どんどんと祈りが積みあがって、神さまに届いて、答えが来るまで…!

 半分は長男の、半分は自分の心と戦っていました。
 話しているうちに、私の中の不信仰が溶けていき…、そうだ! 神さまだったらできる! 祈ればいい! そう思いが変わっていきました。

 長男も、すこし泣いた目で「信じれなくてごめんなさい。神さまだってできないって思ってごめんなさい…」そう祈りました。

 悔い改めは本当に恵みです。

 祈り終わった長男の顔は、もう、明るいいつもの長男でした。

 そして言いました。
 「ママ、これからご飯のたびに祈ろうね!」

 そして、しばらく神さまに求めることをしなくなっていた長男は、再びなんでも祈る(おもちゃ中心ですが…!)ようになっていたのです。

 それから、おねしょで叱られたときも、嘘ついて「正直にならせてください」って祈ったときも、長男は必ずこう祈るのです。「ぼくにはできないけど、神さまならできるでしょ。だから助けて」

 4歳で何かをあきらめなくてはならない、自分にはどうしようもないことを知る、それは何と残酷なことかと思っていました。でも、「この希望は失望に終わらない」のを、長男を見て体験しました。

 期待する心、希望がある心は、人を変えるんだなと思いました。そして、私たちには遅いと思うかもしれないけれど、必ず神さまのときに長男はいやされるのです。そう、約束してくださったから。

 神さまは、私たちの希望です。