十二年ほど前のことです。私達家族は熊本に住んでいました。
 九月に入り、教会では、あるA国ににチームを送るために祈り始めていました。
 私も行きたいと願っていました。

 ところが、行く日が近づくにつれて、
 「私は導かれていない」という思いが強くやってくるのです。
 それで、私は、しぶしぶこの語りかけと、主のうながしに従うことにしました。

 その時の私の心は、「どうして、私は海外宣教に行かせてもらえないのだろう。」
 と落ち込みそうになるのを、じっとこらえていました。
 しかし、これは神様の深い愛とあわれみであったことを、後で知ることになったのです。


  アジアチームが出発して数日後、九州に台風が接近して来ました。
 そして、熊本県に台風十九号が上陸するということで、
 小学生だった三人の子ども達は、お昼頃、帰って来ました。
 その時は、空はどんよりとした雲が風で流されているだけでした。 

  ところが、二時になると突然強風が吹き始めたのです。
 私は、慌てて外に出ている物を中へ入れ始めました。
 すると家の中で長男が大声で私を呼んでいますので行って見ると、
 なんと、大きなアルミサッシのガラスが(ななめにひびが入っていました)
 暴風で盛り上がってきたのです。

  私はこの時、大変な状況に置かれていることに気づいたのです。
 私が一人で、三人の子ども達とこの家を守らねばならないと思った時、
 恐怖心で目に涙がじわっと浮かんできました。

 外に出て雨戸を閉めると、私はこの家と家族の守りの為に祈ろうと思いました。
 聖書のなかで、イエス様は荒れ狂う湖を、言葉をもって静められました。
 私は神の子どもとして、イエス様の力ある御名の権威を行使しようと思いました。


  それで、子ども達に話し、お母さんの言う通りするように言いました。
 そして大声で賛美し、祈り、三十分位、大声で叫んでいると、汗びっしょりになりました。

  すると、心の中にあった恐怖心が、ふっとんでしまったのです。
 私と子ども達の心に神様からの深い平安が与えられたのです。
 それで、私の部屋で、子ども達と楽しい交わりの時をもちながら、
 主人の帰りを待つことにしたのです。

  その頃には、もう電気も水道も止まり、電話も不通になっていました。
 そして、外は、瞬間最大風速五十二メートルという、
 私の人生で体験したことのない暴風が吹き荒れていました。

 
  時々ラジオのニュースを聞くと、
 アナウンサーは災害の状況と「夜半まで(夜中の十二時まで)
 強い吹き返しの風が吹きま すので、厳重に警戒してください!」
 とくり返し放送していました。

  ところが、七時半になった時、不思議なことが起こりました。
 それまで吹きまくっていた暴風がピタット止まったのです。
 そして、まもなく、主人は八時頃、無事に帰宅することができ、
 互いの無事を喜び感謝しま した。
 この出来事は、主に聞き従うことの重大さを教えてくれました。


  私がA国へ行っていたらどんな大変なことになっていたかもしれません。
 嵐の中で平安を与え、家も子ども達も守ってくださった主イエス様の
 力ある御名をほめた  たえます。

 デボラ大内


 

嵐の中の平安