転移スキルス胃がんの癒しから、永遠のいのちへ

この8月16日、洗礼を受けられた甲府市在住のK・Mさん。実はこの半年前、ガンで「余命6ヶ月」の宣告を受けた方だった。余命といわれた6ヶ月をちょうどすぎる頃の洗礼式となった…。


 ここしばらくで体重が7kg増え、集会後にはみなと共に椅子片づけを手伝う、これが余命6ヶ月と宣告されてからの元気とはとても思えないだろう。
 この方は、胃に違和感を覚え、昨年2002年12月21日に受診した。胃潰瘍かなんかだろうと思っていたら、1月半ば、家族も呼ばれ、胃癌の告知を受けた。彼女の胃癌はスキルス癌という特異なもので、転移の存在が確認されたステージ4だった。このまま放置すると半年しかもたないだろうと言われ、はじめて「死」を意識したという。しかし同時に、子供のためにもまだ死ねない、見届けたいという思いもあった。
 2月5日に行なわれた手術の結果、S字結腸の摘出が行なわれた。しかし転移が認められたすい臓と腹膜、胃はとりきることができなかった。
 入院中の病院の採血部に、家の向かいに住んでいる看護婦さんがいた。それまではあいさつ程度だったが、その人はクリスチャンだった。病気のことを「祈っています」と言われ、術後3日目にはその人と娘さんがお見舞いに来られた。その時、不思議に彼女は「このふたりは神様のおつかいで、ここに来た」と、はっきり感じたという。いつもご近所で見かけていたのに、その日はおふたりが本当に美しく見えたそうだ。そしてその後、その人が出会わせてくれた牧師の導きでイエス様を信じ受け入れた。
 彼女は昔、いろいろな困難がゆるされたとき、自分で選んで創価学会に入信した。熱心に活動したこともあるが、内部分裂を機に集会から離れた。しかし大きな仏壇は家に残ったままであった。失望を覚えたこの仏壇の「神」に祈ることはなくなったものの、何かを信じる「信仰」の必要性を感じ続けてきた。仏壇をないがしろにする後ろめたさが、重苦しかった。
 牧師が家に来たとき、仏壇を破棄することを勧められ、そうした。すると、それまでの重苦しさが嘘のように消えた。それとともに、祈りの中で本当に安らいだ。癌と宣告されてから、夜、恐怖を感じることがあったが、祈ると不思議と「大丈夫」と思え、安心できた。
 教会でもご自分でも祈り続ける中、病状もどんどんと改善され、はじめは480もあった腫瘍マーカーの値も、14(通常の人と同じレベル)まで下がった。2月から服用している抗癌剤も、普通なら厳しいはずの副作用がほとんどない。おかげで体重は7キロも増加し、術後太る癌患者は見たことがない、と言われている。摘出することができないと言われ、癌で覆われて堅くなっていた胃が、7月はじめの検査では、ほとんど普通の胃にもどっている。肯定的なことを言わない医者が驚いている。
 祈りは「至福のとき」だと言う。ずっと仕事で忙しくしてきた人生の中で、何もしない現在にはじめは戸惑いを覚えたが、今は、「これから神様がどうしてくださるのだろうか」と期待が高まっている。付き添って半年も仕事を休んでくれた息子さんのこと、術後の回復など、「祈るしかない」ことがまだあると話す。しかし真の神様との出会いから半年、いやしをとおして与えられた信仰によって、その祈りに神様は必ず答えてくださるに違いない。